飼い主の家を飛び出した猫は大抵、腹が減れば戻ってくる。あるいは近所に仲間ができれば野良化する事もあるだろう。
しかしこの猫は野良化はできない。自分で餌を取る事ができないからだ。また未熟児だったので1歳なのに8ヶ月の猫よりも小さい。外で喧嘩をしたら、まず勝てない。
つまりは、外に出た時点で生き残ることができない猫なのだ。完全な家猫だったので、外の世界は驚愕の一言に尽きる。パニックを起こして方向すらわからなくなるはずだ。

無傷でいたとして、飢えて動けなくなるまで3日くらいだろうか?とにかく短期決戦で挑まなければならなかった。

昼を過ぎ、捜索はまだ続けられていた。
仲間と奔走中に、その猫を初めて保護した時の事を
皆でリフォームを思い出し、話題に登る。

梅雨時のように長雨のしつこい日だった。
家の軒下に野良猫が産み落としたであろうそいつの姿は、
猫ではなかった。
小さくて醜いものが、その小ささ故に、
水たまりの中で泥まみれになってもがいていた。
浅い水たまりでも溺れてしまうほどの小ささ…
見なかった事にすれば、30分ともたなかったのだが。

日も暮れかけた頃。居なくなってから2回目の夜が近づいてきた。情報はいくらか寄せられていたが、どれも決定打に欠ける。皆に焦りが出始めていた。