そいつのマンションは表通りから一本内側に入った、
静かな住宅地の一画にあった。建物に面した県道は
路線バスが悠々とすれ違えるほどの幅があったが、
深夜ともなると一台も車が通らないほど閑散としていた。
道路とはいえ、さすがにこんなに静かな道に
改造車6台でなだれ込むのは気がひけたので
ダンプカーが往来する4車線の表通りに停めることにした。
この頃はリフォームの大らかな時代で、夜明け前に撤収すれば
目の前の交番からも文句は来なかった。

8人は静かに敷地内へと足を踏み入れ、駐輪場の前で6階建ての
マンションを振り仰いだ。天井が低い構造なのか、
それほど高くは感じない。安いマンションだとは聞いている。
「あいつの部屋は?」
「一番上。階段しかないよ。」
自然と声はひそひそ声になる。